2017年9月9日 更新

元湯陣屋 再建の道のり

新宿から小田急線で約1時間。神奈川県秦野市の温泉郷、鶴巻温泉にあるのが大正7年創業の老舗旅館「陣屋」です。約100年の歴史のある陣屋ですが、2009年、3代目急逝で急遽4代目に就任した私が経営を引き継いだ当時は、10億の借金を抱え経営不振のため存続の危機に瀕していました。そんな陣屋の再建はとにかく試練の連続でした。

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当時は社員20人、パート・アルバイト100人態勢で回していましたが、現在はバックヤードの効率化が進んだことで、社員とパート・アルバイトを合わせて約40人で回しています。従業員の数は減りましたが、情報の共有が進んだことで、サービスの質は逆に向上しています。宿泊客の利用履歴はすべてクラウド上に記録されており、例えば苦手な食材の情報があれば、調理場はそれを踏まえて自身で判断してメニューを工夫することも可能です。

従業員のマルチタスク化

人数が減ったのにサービスが改善された背景として、従業員の働き方改革やマルチタスク化を進めた点も重要なポイントでした。かつての陣屋はお客のお出迎えは玄関係、炭をおこすのは炭係と、それぞれの仕事ごとに人を雇っていました。なんと入口の太鼓を鳴らすだけ、という従業員もいるという非効率さでした。

しかし今では、情報が共有できることもあり、インカムの声に反応して他の係の仕事を手伝ったりということが、躊躇なくできるようになりました。これもIT化の効果のひとつです。

さらなる進化とこれから

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一連の改革で元湯・陣屋は生まれ変わり、利益率も業界トップクラスになりました。しかし、現状に満足するつもりはありません。さらなる成長のため、新たなビジネスを矢継ぎ早に打ち出しています。かつては人を割くことができなかったお節料理の販売もそのひとつです。

また、改革の牽引役となったクラウド型システム「陣屋コネクト」を、同業の宿泊施設へも提供し、今では200以上の旅館・ホテル施設などで導入されています。
さらには、食材の共同購入や、料理支援など、「小さな旅館同士の助け合い」を支援するためのネットワーク「陣屋EXPO」のサービスも、実現に向けて実証実験を進めています。

これらの取り組みを進めていることで、陣屋は宿泊施設再建~地方創生のモデルケースとして、同業の旅館・ホテル業界だけでなく他業種や政府関係者やメディアなどからも取材の依頼が殺到するなど、大きな注目を集めています。
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オーナー 宮崎 富夫 オーナー 宮崎 富夫

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